Like the brightest star

ヘドウィグを観てきた。

あれはきっと僕らがふたつに分かれた日/僕らは互いを見つめ合う/血まみれの目に映る血まみれの顔が/なぜだかひどく懐かしい/君が誰かは知らないけれど/ひとつだけ確かだった/君が痛みを抱えていて/それが僕の痛みと同じだってこと/心を突き刺すこの痛みを/愛という名で呼ぼう

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フィナーレにしてアンセム、Midnight Radioの歌詞のyou're doing all rightをこれまで、字幕の影響もあり、「あなたたちは正しい」と理解していた。けれど三上ヘドウィグが客席に放った言葉を忘れないーー大丈夫だから。俺大丈夫かなあ、大丈夫だよね。

それは兎みたいな

お試しレベルのメンタルコーチングを受けてきた。いま辛いその状況を身体でイメージすると?と聞かれ「迫ってくる壁に潰されないように腕を必死で伸ばしている」と動作する。そんなに守ろうとしているものは?という質問に、自分でも思ってもいなかった返事。

ピンクに光る、兎みたいにふわふわな小さなものです。

何だよそれ!

Maybe so but not today

「侍タイムスリッパー」を観る。話題になるだけのことはあるわ。決して奇をてらうことのない、「ベタ」の繰り返しでこんなに物語を面白く見せられるなんて。笑って泣いて忙しいよ!

何より泣かされたのが、高坂と同じ体験をあの人もしていたということが明らかになるシークエンス。

「わたしの苦しみ、かなしみ、痛みは、わたしだけのものではなく、他の誰かもまた味わった苦しみ、かなしみ、痛みなのだ」という気づき。それが古典を読むことの意味だと聞いたことがあるが、これもそのテーゼの変奏だ。わたしの苦しみ、かなしみ、痛みは、どうしようもなくわたしだけのものでありながら、長い歴史で広い世界で、誰かがきっと似たような思いをしていたはずだと想像すること。そのときわたしたちは、わたしたちが一人じゃないと知るのだ。

2024年秋

この連休はいろいろあって情緒が乱れっぱなしだった。

金曜、先週会った若い子にLINEスルーされた。それだけでも心中穏やかじゃないが、泥酔状態で女友達にそれを伝えたら、責められたような気持ちになり落ち込む。

土曜、恐る恐るメッセージを読み返すと、そんなことなかった。俺が心で、勝手に作ったイメージに苦しめられてただけだった。例の若い子のアカは非表示にして諦める。

日曜、仮免検定前の「見きわめ」アウトで一時限追加課金。そんなこともあるだろと思ってはいたが、いざ実際告げられるとショックだね。なんだかんだで、自分は小器用に何でもできて、人並み以上だと思っていたんだな。

マッチングアプリで会った相手がサイコパス的に不機嫌で攻撃的。立っている地面が歪むようなダメージを受ける。会ったばかりの相手にそこまで怒りなり不満を露わにしてしまう、そんなんじゃさぞかし生きるのが辛かろう、可哀想な人だと納得しかけたが、どうにも腹落ちしかね、ここは頼っていいとこじゃないかと友人を呼び出す。ちょうどこれから飯だと2、3分で返信をくれた。持つべきものは近所のゲイ友。決してこちらを全肯定をしてくれるタイプの友だちじゃないが、事故物件のヤバさをニヤニヤと聞いてくれるだけで充分だ。

月曜、追加教習。わりと辛口の教官にダメ出しされながら坂道発進をしっかりめに教わる。俺、知ってる。もういい大人だから知ってる。優しい口調で抽象的なこと言うより、厳しい言葉で具体的な指導してくれる人の方が絶対に「使える」。挙句、検定頑張れ、と通してくれた。悔しくて涙が出た。恥ずかしすぎる。知らない間にプライドが無駄に高くなってて、上手くできないことが自分にあるってことが耐え難くなってる。(確定申告みたいに、金で外注できることを除く)でもやっぱり事前の巻き込み確認ができてないと思う。

友だち少ない俺だけど、いる友だちにはだいぶ助けてもらってるな。ちゃんとありがとうと言わなきゃ。

クラッチ操作が難しい

妹が結婚したのはもう20年近く前。今はこの世にいない女友達が、かぐや姫の「妹」みたいな気持ちかい?と聞いてきて、俺はその歌を知らなかったからわざわざCDをレンタルしたんだった。ユーチューブもサブスクもなかった頃。さすがにそんなセンチメンタルな気持ちになるわけもなく、挙式の帰りほろ酔いで立ち寄ったゲイサウナで出会った相手とその後7年付き合ったのはまた別の話。

「お前は歩き出すのが遅くてパパたちをずいぶん心配させたよ。けれど周りの子よりずっと遅れてついに立ったと思ったら壁まで一気に駆け抜けた」ーー何かのドラマで耳にして、自分が言われた言葉のように記憶している。俺も昔からそうだった。何にせよ掴むのが遅いのは自覚している。一桁の数字だけが並ぶドリルを前に、足し算の意味が分からないと母親に泣きついた日のことを、ぼんやりと思い出す。一年生の算数に比べれば、クラッチなんか何でもない。そうだろ?

2月になったら起こしてくれ

2022年ガンズ、2023年マニックススウェードと来て、2025年グリーンデイ。ゴールド30,000円×2公演分程度なら躊躇わない大人になったぜ、あの頃の俺よ。ゴールドは外れて少し安心するショボさだが。ともあれ、これであと半年は生きてる理由ができた。

夢みたいな来日が続いているのは、つまりは自分が青春時代のバンドのためなら大概な金を出す歳になったってことだ。人間、17歳で聴いた音楽を生涯愛し続けるっていうからね。そりゃオアシスも再結成するわって話。

宇多田ヒカルは、たまたま超絶歌ウマだっただけの本質的には詩人だという説がある。ソースは忘れた。ビリージョーも同じだと思っている。以下はその証明。

 

もうどうでもいいって決めた。Burnout

ぜんぶイヤになった、俺の話を聞く時間はあるか? Basket Case

俺は愛と怒りの子。Jesus of Suburbia

聴こえるのは自分の頼りない鼓動だけ、誰か俺を見つけてくれないか。Boulevard of Broken Dreams

お願いだ、9月が終わるまで眠らせて。Wake Me Up When September Ends

名前は忘れたけど顔を見りゃ分かった懐かしい奴。元気でいたならいいけど。Whatshername

まだ自分で息をしてる。生きてくことが死ぬほど怖いんだろ? Still Breathing

愛と平和が「誰かの」ものならそれって意味あんのか? Troubled Times